4月5日 理学療法士さんの訪問日

物を並べたり直線をなぞって遊ぶことが大好きなM君。最近は遊びの幅が広がり、トンネルの中にトラックを通して遊んだり、砂場ではスコップで上手に砂をすくってカップに入れたり、砂が落ちる様子を眉根に立てジワを入れながら集中して見て遊んでいる姿をよく見かけるようになりました。

四つ這い移動の時は足が交互に動かず、常に左足先行。砂場のスコップも左手が多く、普段の様子を見ていても動き出しの動作では顔や体が斜めに傾き、左半身先行で動くことが多いM君。右半身もたくさん使って遊びたいところです。そんなM君に療法士さんがボールを転がすと、M君は弾けるような笑顔でキャッチ!コロコロ~と返していました。転がってくるボールは1つではありません。何個も一度に転がって来るボール全部に反応したいM君、得意の左手だけでは足りず、両手を使わざるを得ない状況です。長い間、集中して両手をいっぱい使って遊ぶことができ、やりとりする楽しさやボールの動きの面白さ、両手を使うことの便利さ等、たくさんの新しい刺激を経験してました。

素敵なエピソードをご紹介。春満開の園庭のプランターのチューリップを見ていたY君。チューリップの間にまあるい蜘蛛の巣を発見!

「わあ~、蜘蛛の巣!ピカピカ。先生、見て見て!」キラキラと水滴が光る蜘蛛の巣が風に揺れる様子を見ていました。蜘蛛が作り出す自然の造形美にうっとりしている様子。そのうち、ちょっとだけ触ってみたくて指で蜘蛛の巣をチョン!その途端、円形の蜘蛛の巣が壊れて、いびつな形に…。自分の指が起こしてしまった悲劇に、火が付いたように泣き始めました。「直して~!直して~!」と職員の胸に顔を埋めて泣いているY君。クモさんが一生懸命巣を作っていることを知っているY君は、きっと、心の中では「ごめんなさい、クモさん、僕、壊すつもりなかったの。綺麗だったから、ちょっと触ってみたかっただけなの。こんなことになるなんて…、ごめんなさい。。。!」という罪悪感でいっぱいだったことでしょう。なかなか泣き止めず、立ち直れずにいたY君の近くに、ちょうちょがひらひら~と飛んできました。Y君を抱いていた職員が、「ちょうちょがY君に、『Y君のおかげでクモの巣にひっかからなかったわ、ありがとう!』って言ってるよ。」と言うと、ピタっと泣き止んだY君。「えっ?僕、ちょうちょ助けた?」と顔を上げて、ようやく気持ちを切り替えられました。

Y君の心の中で、巣が壊れて困っている蜘蛛の顔や、蜘蛛の巣にかからなくて助かったわ、と笑っているちょうちょの顔など、絵本のような世界が広がった様子が垣間見られて、心が豊かに育っているなぁ、と嬉しくなりました。

ちょうちょにお礼を言ってもらった後も、やっぱり蜘蛛の巣が早く元通りになって欲しいY君。きっと、「このままだと、クモさんご飯食べられないかも。」と心配だったんでしょうね。その後も何度もチューリップのプランターを心配そうに覗いていました。翌朝、元通りの形の蜘蛛の巣を見つけて、やっと安心できた様子。

今後も、思いやりのある優しいY君の気持ちを大切にしながら、心の育ちを見守っていきたいと思います。